次の土曜日、市内の社会福祉法人が運営するデイサービスに面接に行きました。担当者から簡単な面談を受けると、基本は傾聴で、他にできることは何でもするということで、採用となりました。ボランティアですから、問題のありそうな人でなければ、大丈夫なのでしょう。
その後、職員さんへの自己紹介が済むと、早速、別の職員さんに活動場所に案内されました。
談話スペースを兼ねた食堂には、6人掛けのテーブルが5個程度あって、そのうち7割ほどの席に高齢者の方々が座っておられました。
その集団の中に入ると、職員さんは、接し方の注意点など細かい説明は殆どせず、「では、お願いします。」と言って、直ぐに去っていきました。既に、面談で済んでいるから説明不要ということなのだと思われました。
実は、初対面の高齢者さんとの会話のきっかけくらいは作ってくれるだろうあてにしていたところがあったので、これには多少戸惑いました。
実際、見知らぬ高齢者さんたちの中に、一人取り残されてしまうと、最初に話すことがすぐには思い浮かびませんでした。
しかも、良く見ると、遠目ではわからなかったのですが、高齢者たちは大勢でいながら、お互いを見ず、ただ黙って座っているのでした。もしかすると、意思疎通ができるのかもわかりません。
こう考えると、俄かに不安な気持ちが膨れ上がってきました。
もしかすると、職員さんが高齢者さんたちに話しかけなかったのは、これが理由なのかも知れないとも思われてきました。
しかし、それでも、自ら希望してきたところですから、積極的に行くしかありません。
そこで、職員さんは、私が、経験を積んだボランティアだから説明不要と考えたに違いないと思うことにしました。
それは、自分にとっては、プレッシャーでもありますが、ベテランらしいところを見せなければという気持ちも生まれてきました。
この日を初日として、複数の介護施設で、ボランティアを長年にわたって継続することになるのですが、職員さんが、あっさりしているように見えたのは、今になってみると、ただ忙しかったのだということがわかりました。職員さんは、絶えず高齢者さん一人一人の状態に目を配りながら、入浴や体操など効率よく進めていかなければなりませんから、余計な雑談をしている暇などないというのが実態です。
そのときは、いきなりボールを預けられたような気もしましたが、躊躇している場合ではありません。当たって砕けろ精神で、近くにいる方からひたすら話しかけていくことにしました。


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